指紋の現像法は、大きく物理的現像法と化学的現像法に分類される
物理的現像法
物理的現像法とは、指紋残留物(皮脂・汗成分)に粒子や蒸気が付着・沈着することで指紋を可視化する方法である。
この方法で処理物質と印象材との間に化学反応は生じず、ほとんどの痕跡や印象、特に油脂・脂肪・油によるものに適用可能である。
• 物理現像法(Physical Developer)
溶液中の化学反応により生成したコロイド粒子が、指紋残留物に直接付着して現像する。
• 微粒子試薬法(SPR)
溶液中に懸濁したコロイド粒子が、指紋中の脂質成分に付着して指紋を可視化する。
• シアノアクリレート燻蒸法(瞬間接着剤法)
シアノアクリレート蒸気が指紋残留物上で重合し、蒸気相から沈着して指紋像を形成する。
• 粉末法
微細な固体粉末粒子が指紋残留物に付着し、現像後にリフトが可能となる。
シアノアクリレート燻蒸法(瞬間接着剤法) はプラスチック製品やごみ袋のような, 様々な非多孔質表面に使われる。
方法としては、指紋が付着している物体はシアノアクリレートとキャビネットに入れられ80度から100度で45分ほど燻製にされる。
その後赤色か黄色の染料によって染められ、法科学用光源(Crimelight)下で撮影される。
赤色の染料なら青-緑光源、黄色の染料なら紫-青光源。
粉末法 には、アルミニウムパウダー(Aluminium powder)と、マグネティックパウダー(Magnetic powder)があり、指紋が付着している物質によって使い分ける。
アルミニウムパウダーはガラスや暗い色の物体によく使われる。マグネティックパウダーには蛍光(fluorescent)のものとそうでないものがある。蛍光のパウダーは
赤色
と 緑色
がある。表面に色がついている、また、ざらざらしている物体によく使われる。
蛍光パウダーは法科学用光源(Crimelight)下で撮影される。
赤色パウダー
には青-緑光源にオレンジフィルター、
緑色パウダーには紫-青光源にオレンジフィルター
がふさわしい。蛍光でないパウダーはVSCのtransmitted light.
化学的現像法
化学的現像法とは、指紋残留物中のアミノ酸や塩化物などの成分と化学反応させることで、指紋を可視化する方法である。
• ニンヒドリン(Ninhydrin)
非多孔質表面(紙やカード)に使われるアミノ酸反応液。ニンヒドリンが入った容器に浸し、それを湿度の高いオーブン(80度、65%RH)で10分から15分ほど温める。VSCのtransmitted light下で撮影
• DFO
非多孔質表面に使われるアミノ酸反応液。ブラシで塗り広げ、乾燥オーブンで100度、20分以上温める。
青-緑光源にオレンジフィルターで撮影
• IND
非多孔質表面に使われるアミノ酸反応液。ブラシで塗り広げるかスプレーされ、乾燥オーブンで100度、10分程温める。
青-緑光源にオレンジフィルターで撮影
• クリスタルバイオレット(Gentian Violet)
主に粘着テープ・接着剤面の指紋に使用される。染料に浸し、水で落とす。その後乾燥させ、
黄-緑光源にオレンジフィルターで撮影
• スーダンブラック(Sudan black)
汚染された非多孔質表面(缶や食品トレー)の指紋に使用される。染料に浸し、水で落とす。その後乾燥させ、VSCのtransmitted light下で撮影
• ヨウ素昇華法
ヨウ素蒸気が指紋中の脂質成分に吸着して褐色に呈色する。非多孔質表面やヒトの皮膚に使用される。VSCのtransmitted light下で撮影。
光学的(照明)強調法 (その他)
光学的強調法(Optical / Lighting enhancement methodsとは、特定の光源や観察条件を用いて、現像された(または未現像の)指紋のコントラストを高め、視認性を向上させる方法である。
主な方法
• 斜光照明(しゃこうしょうめい)
低角度から光を当て、凹凸や反射の差を強調する。
• 代替光源(ALS:Alternative Light Source)
特定波長の光を照射し、指紋の蛍光や反射特性を利用して観察する。
• 紫外線照射(UV)
指紋残留物や染色剤の蛍光を観察するために用いられる。
• フィルター観察
光学フィルターを用いて不要な波長を遮断し、指紋像のコントラストを高める。
ヘンリーシステム(Henry Classification System)
ヘンリーシステムとは、10指の指紋を紋型と指の位置に基づいて分類し、多数の指紋記録を体系的に整理・検索するための方法である。主に渦状紋(whorl)の有無を用いる。
10本の指は右手から左手まで番号付けされ、2本ずつ5組のペアに分けられる。各ペアにはあらかじめ決められた点数が割り当てられており、そのペア内に渦状紋が存在する場合に加点される。弓状紋および蹄状紋は点数に含まれない。
算出された数値は、
(偶数番号の指の合計+1)/(奇数番号の指の合計+1)
という形で表され、これが一次分類値となる。
ヘンリーシステムは、コンピュータが導入される以前に指紋を効率的に管理するために広く用いられたが、紋型のみを用いるため個人識別能力には限界がある。現在では主にAFISの基礎概念として、教育・理論面で重要な分類法である。
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